失われたコミックを求めて - IN SEARCH OF THE LOST COMIC -
私事ですが、子供のときに見かけたマンガの正体がわからず、ずっと気になっていました。
「読んだ」ではなく「見かけた」と書いたのは、隣の人が読んでいた雑誌をチラ見しただけだからです。
内容は野球マンガで、絵のタッチは、ちばあきおの「キャプテン」を彷彿とさせるものでした。
「キャプテン」「プレイボール」が大好きだった私は、気になって覗いてみると、扉絵のところに、“ちばしげゆき”と書かれていました。
もしかして、ちばあきおの兄弟なのかな、と思いましたが、読んでいた人が去ってしまって、それ以上のことは分からずじまいでした。
断片的な情報しかないのですが、整理してみると:
- 時期は昭和50年代中盤
- ジャンルは少年野球マンガ
- 分厚い雑誌だったので、おそらく週刊誌ではなく月刊誌(うろ覚えだが、なんとなく『月刊少年ジャンプ』だった気がする)
- 作者のクレジットは“ちばしげゆき”
こんな感じです。
後年になって、ちばあきおの弟で、漫画原作者の七三太朗の本名が、“ちばしげゆき”(千葉樹之)であることがわかりました。
しかし、あくまで漫画原作者であり、漫画家として活動したという話はついぞ聞きませんでした。
それでも、漠然と、最初は漫画家だったけど、すぐに漫画原作者に転身したのかな、くらいに思っていました。
やがて、「まんがseek」の活動に携わると、インターネットの目覚ましい発展もあって、得られる情報が質・量とも以前とは比べ物にならないほど充実するようになり、ついにその正体を突き止めることができました。
それは、『月刊少年ジャンプ』に連載されていた、「がんばれ!ドロッパーズ」という作品です。
連載時期も1979年6月号~1980年5月号と特定できました。
ここまでくれば、国立国会図書館で現物確認できます。
ということで、さっそく永田町まで出かけてきました。
(『月刊少年ジャンプ』1979年6月号より)
やはり記憶違いだったようで、“ちばしげゆき”は原作、漫画を描いているのは“江田二三夫”でした。
ちばあきおのアシスタントを長らく務めた人物で、これがデビュー作です。
なるほど「キャプテン」っぽい雰囲気なのもうなずけます。
江田二三夫は、その後、教育関係のマンガを多く手掛けるようになり、伝記マンガや、『小三教育技術』という教育者向けの雑誌などで作品を見かけることができます。
ちなみに、「がんばれ!ドロッパーズ」は1年間の連載ののち、形式上は“第1部 完”ということで終了していますが、続編が描かれることはなく、単行本化もされていません。
(『月刊少年ジャンプ』1980年5月号より)
今回、調査するにあたって、不明確ながらも手持ちの駒として用意できた情報を再確認すると、以下のような項目になります。
- 雑誌連載の時期
- マンガの内容(ジャンル)
- 掲載雑誌名
- 作者名
現在では、これらの情報をもとに「まんがseek」で検索すれば、「がんばれ!ドロッパーズ」にたどり着くことができます。
このように「まんがseek」は、うろ覚えにせよなんらかの情報さえあれば、利用者がそれをもとにして目的の作品が検索できるよう、データベースのブラッシュアップに日々努めていますので、ぜひご活用ください。
(文中敬称略)
関連作品
- 37781 がんばれ!ドロッパーズ [江田二三夫, ちばしげゆき]
関連人物
関連雑誌
- 541 月刊少年ジャンプ
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